
人事担当者のための派遣入門
派遣と請負
企業がその業務を外部の人間に委託するときによく出てくる言葉が派遣と請負です。この二つはよく混同されて使われていますが、実は全く違うものなのです。
人事担当者が正社員を採用しようとする場合、まずは履歴書による選考を行います。しかし、派遣スタッフの採用には、この履歴書の事前提出と履歴書による選考は行うことができません。派遣法の第26条には派遣労働者を特定する行為の制限が規定されています。これは立場の弱い派遣労働者を保護するために設けられた規定です。もちろん、派遣先企業から事前に派遣労働者の性別、年齢、国籍など業務遂行の能力に関係のない指定をすることも禁じられています。もっともこれは正社員を採用する場合も同様です。
履歴書などによる事前選定と同様に、事前面接による選考や選別も禁止されています。性別、年齢と同様に、業務遂行能力と無関係な容姿などで派遣労働者を選別することはできません。派遣元企業の中には、職場見学という名目で派遣労働者と派遣先企業の担当者との面接(らしきもの)を行うところもありますが、この職場見学の後にその派遣労働者を採用しない、ということはやってはいけません。ただし例外として、正社員採用をすることが前提である、紹介予定派遣に限っては事前の履歴書提出や面接の実施が許されるようになりました。
通常正社員の採用に当たっては、2週間から3カ月の試用期間が設けられます。これは、採用した人物の業務能力が会社の要求水準を満たしているかどうかを判断する期間とされています。もし要求水準に満たない場合には、採用の取り消しということもあり得ます。しかし、派遣スタッフに対しては、派遣先企業がその選別をする期間を設けることは派遣法で禁止されています。では、もし業務能力の満たないスタッフが派遣されてきた場合はどうすればいいのか。これは派遣元企業に対して契約不履行を理由にスタッフの交代などを求めるという対応になります。もちろんその理由については合理性が必要ですので、社風に合わない、などの理由はもってのほかです。
契約期間についてはどのように設定すればよいのでしょうか。対象となる業務が一定期間内に終了する予定のものであれば、その期間で契約すればよいでしょう。しかし、経理等の事務職の場合にはその終了を契約時に判断することは難しいと思われます。派遣法では原則として、同一業務の派遣期間は1年未満、または1年以上3年未満とされています。ですから派遣先企業にとっては、3カ月や6カ月などの期間を定め、必要に応じて契約更新を行うという運用が適切でしょう。ただし、契約更新を繰り返して3年を超える場合については派遣先企業には正社員雇用の申し入れ義務が発生する場合があります。